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舞踊家・崔承喜の映画を作ろうと奔走する李春浩さん

 20世紀、朝鮮出身の舞踊家、崔承喜(チェスンヒ)による芸術性の高い舞は、多くの人々を魅了しました。日本によって植民地支配された朝鮮半島の受難の時代、祖国や日本、欧米で踊り続けた承喜。彼女の激動の生涯を描く映画制作を目指す、神奈川県在住の在日コリアン、李春浩(イチュノ)さん(74)に話を聞きました。

戦前・戦中期、世界から称賛された朝鮮出身の舞姫

 戦前、戦中の日本で大人気をほこり、「世紀の舞姫」などと呼ばれた朝鮮半島出身の舞踊家、崔承喜(チェスンヒ)をご存じですか。私は「元祖韓流スター」ともいえる彼女を描いた日韓合作映画「承喜」を作ろうと、日夜駆けずり回っています。

 日本による植民地支配の時代に生まれた承喜は、日本人舞踊家、石井漠に師事し、日本や朝鮮だけでなく、ニューヨークなど海外での公演も多数こなしました。多くの差別や圧力を受けながらも、抱いた夢を諦めずに踊り続け、作家の川端康成に「日本一」と言わしめるなど称賛を浴びた。戦後、夫とともに渡った北朝鮮で亡くなるという、波瀾(はらん)万丈の生涯でした。

 私は在日コリアン2世です。若いころ、映画の撮影助手をしていました。そのころから承喜に関心を持ち、いろんな文献や資料を読んで強い感動を覚えました。

 承喜が日劇で踊っていた時…

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